ビジネスアイデアパターン

社会貢献活動連動型ビジネス


世界中には様々な問題があり、特にアフリカを始めとする貧しいと言われる地域には、日常生活や生命に関わる深刻な問題も顕在化しています。そのような問題に対し、募金を集めたり、ボランティアを行ったりという社会貢献活動は以前からありましたが、持続可能な活動にするためには、地に足着けたビジネスとして成立していなくてはなりません。そこで、募金やボランティアではなく、通常の経済活動の中でビジネスとして資金を得て、それを社会貢献活動に展開していくというビジネスモデルです。

■TABLE FOR TWO

特定非営利活動法人TABLE FOR TWO Internationalは、発展途上国の子供達に給食を支援するTABLE FOR TWO(TFT)という活動を行っています。契約した食堂やレストランで、健康を意識した対象となるメニューを注文すると、発展途上国の子供達の給食1食分が寄付されるという仕組みで、先進国の人達も健康を考えたメニューを食べることができ、発展途上国の子供達も給食が食べられるという、2人が健康になるための食事です。発展途上国の給食1食分はおよそ20円として計算されており、対象となる健康メニューにはTFTマークが付けられ、識別できるようになっています。気軽に参加できる意義のある取り組みとして幅広く受け入れられており、企業の食堂やコンビニなどにも導入が進んでいます。

■パン・アキモト

株式会社パン・アキモトは、賞味期限が3年の缶詰のパン「PANCAN」を販売するベーカリーです。賞味期限が長いことから、非常用の備蓄食として重宝され、学校、企業、マンションなど、様々な施設に備蓄されています。販売価格は1個400円ですが、賞味期限が残り1年を切ると、1個あたり300円で新しい缶詰パンと交換することができます。つまり、下取りで100円分安く新しいものに更新できるのです(価格は一例です)。そして、パン・アキモトに戻ってきた賞味期限が残り1年のパンは、アフリカなどの途上国に寄付されます。1年も賞味期限が残っているため、時間に余裕をもって、途上国の人々に行き渡るのです。これを、救缶鳥プロジェクトと呼んでいます。また、途上国の人々は、食べ終わった後の空いた缶を、コップとして代用することが多いため、切り口で唇を怪我しないように工夫された缶を使用しています。3年経っても作りたての美味しさという技術はもちろん、下取りをして社会貢献を行うというビジネスモデルが高く評価され、備蓄食としての採用が大きく増えています。

■無印良品

株式会社無印良品は、中央アジア最貧国とも言われるキルギスの村で、JICAと共同で村の特産品である羊毛を用いたフェルト人形の現地製造を行い、世界中で販売する事業を展開しています。働きたくても仕事がなく、特産品の羊毛も十分な買い手がなく、現金収入を得ることが難しいキルギスの村に雇用を生み、羊毛を加工することで収入が得られるという、意義ある社会貢献事業です。徹底した品質管理によりフェルト人形の品質を国際基準にまで高め、フェルト人形の販売により十分な利益が得られる国際的なビジネスモデルとして成功しています。

■施設建設ビジネス

物資の豊富な日本では、生活に必要な一通りの施設は、ほぼ全ての地域において整っていますが、東南アジアやアフリカなどの発展途上国では、各地であらゆる施設が不足しています。学校、井戸、体育館、公民館、病院など、費用を調達することできないため建設できないのです。このような問題を解決するため、慈善活動や国家プロジェクトとしての支援という形で多くの人や団体、国家などが貢献をしていますが、企業がビジネスとして行っているケースはほとんどありません。そこで、学校などの施設建設を仲介するビジネスを立ち上げてみてはいかがでしょうか。途上国に学校を建設する場合、数百万円で作れますので、このような活動に貢献したい企業から建設費に利益を乗せた金額で受注し、建設した施設に企業名やブランド名などのネーミングライツを与えます。例えば、マクドナルド小学校というように、名前をつけることができ、そのネーミングライツは、その施設が存続する限りにおいて永久の権利になりますので、途上国を含めた海外戦略を考えている企業にとってはそのメリットの大きさは計り知れません。そのため、仲介料としてある程度大きな利益を乗せても、十分な価値を提供できるビジネスとなる可能性があります。