商品アイデアパターン

本質とは全く関係ない機能にこだわる


全ての商品には、必ず目的としている機能があり、その機能こそが商品の本質と言えます。そのため、目的としている機能を追求し、より高品質なものを開発するべく、メーカー各社は技術を磨いています。しかし、技術力の全体的な底上げにより、本質である機能だけでは、他社との差別化が難しくなっているという現状があります。そこで、本質である機能が高品質であることは大前提のこととして、本質とは全く関係のない別の機能に徹底的にこだわることで他社との差別化を図るという、商品アイデアパターンです。

■バルミューダ

バルミューダ株式会社から発売されているオーブンレンジ(電子レンジ)「BALMUDA The Range」は、「音」に徹底的にこだわった商品です。オーブンレンジは、本来、いかに美味しく料理を作ることができるかという機能に注目が集まるべきであり、そこにメーカーとしても力を注ぐのが常識と言えます。しかし、料理が美味しく作れることは大前提のこととして、そことは全く関係のない「音」に徹底的にこだわり、付加価値を付けたのです。料理をしている空間を楽しく演出するというコンセプトで、操作音や、調理が完了した時の音を、ギターの音にしました。実際に収録したギターの音を使用し、スピーカーも、オーディオ機器レベルの高品質なものを搭載しました。また、加熱調理中は、シンプルなドラム音でビートを刻みます。商品の本来の目的とは全く異なる部分に徹底的にこだわることで、そこに価値を感じてくれる消費者に対しては、圧倒的に他社と差別化された商品を提供することができます。

画像引用元:バルミューダ株式会社HP(https://www.balmuda.com)

■液晶ディスプレイ冷蔵庫

冷蔵庫は、食品を低温で保管するための家電製品で、その機能は年々進化しています。あらゆる温度に設定できたり、急速冷凍や真空チルドなど、各社ともに細かい機能設定で差別化を図ろうとしていますが、ある一定以上の技術で製造された冷蔵庫であれば、大きな差はないのが現状です。そこで、冷やすという機能は当然のこととして目を離し、インテリア性に徹底的にこだわった、液晶ディスプレイ冷蔵庫をつくってみるのもいいのではないでしょうか。冷蔵庫の前面扉全体を、液晶ディスプレイで覆い、色やデザインを自由に変更できる仕様にするのです。白一色、黒一色などにもできますし、クラデーションやチェック柄、水玉模様、木目調などにもできます。写真にもできたり、スライドショー形式にもできます。室内の光を感知して連動させれば、夜中に意味なく光っていることもありませんし、室内の明るさに応じて自然に見える光度でデザインを演出することができます。冷蔵庫でありながら、冷やすという機能ではなく、デザイン性に徹底的にこだわることにより、圧倒的に他社と差別化された商品を作ることができます。

■勝率を設定できるゲーム

モバイルや各種ゲームソフトでゲームをする人が多くいますが、ゲームの種類や機能は、年々進化しています。特に映像のリアリティー感や臨場感には、各社力を入れています。純粋にゲームを楽しむゲーム好きの人にとっては、魅力的な進化を遂げていますが、一方で、ストレス発散を目的にゲームをするという人もいます。ゲームを楽しむという本来の目的とは異なりますが、ストレス発散を目的とする場合、勝たなくては目的を達成することができません。負けてしまっては、余計にストレスが溜まるだけです。そこで、勝敗をあらかじめ自分で詳細に設定できる機能にこだわったゲームがあってもいいのではないでしょうか。例えば、野球ゲームであれば、勝率や、チーム打率、チーム防御率などを自ら設定することができます。勝率100%、チーム打率4割と設定すれば、確実に大勝することができますので、気持ち良くストレスを発散できます。