セールスアイデアパターン

ボリューム感や華やかさを演出する


人が物を購入したくなる心理は、視覚によって誘導されることが多くあります。お得感が感じられたり、美味しそうに見えたり、高級そうに見えたりすることで、つい購入したくなるのです。このような消費者心理を意識し、よりボリューム感や華やかさが感じられるような商品の見せ方を工夫することで、顧客の購入意欲を掻き立てるというセールスモデルです。

■なごやか亭

なごやか亭は、株式会社三ッ星レストランシステムが運営する、北海道発の回転寿司チェーン店です。産地直送の新鮮で旬なネタが売りで、ボリューム感を意識的に演出した「こぼれシリーズ」が人気です。こぼれシリーズには、「こぼれいくら」や「こぼれ甘エビ」などがあり、特にこぼれいくらは、軍艦の上のいくらが乗り切れずに皿の上にこぼれています。あえて皿の上にいくらをこぼすことで、通常のいくらの軍艦巻きと比べて、圧倒的なボリューム感とお得感が感じられ、顧客の心を惹きつけています。

画像引用元:株式会社三ッ星レストランシステムHP(http://www.mitsuboshi.net)

■柿安ダイニング

柿安ダイニング(KAKIYASU DINING)は、株式会社柿安本店が運営する総菜店です。デパ地下などを中心に出店し、様々な種類の惣菜を量り売りで販売しています。ショーケースに並べられた惣菜は、ボリューム感と華やかさを意識し、高く積まれて明るい照明に照らされています。特に高く積むことを意識することで、普通にショーケースに並べた場合と比べて、圧倒的に華やかでおいしそうに見えるため、顧客の購入意欲を掻き立てることができます。

画像引用元:食べログ店舗ページ(https://tabelog.com)

■鳥さく

鳥さくは、株式会社アクロスリングが運営する鶏専門店です。ショッピングモールのフードコートを中心に出店し、から揚げ定食などを提供しています。フードコートの店舗のメニューは、レジカウンターの上に設置されたパネルに書かれていて、通常は横長のパネルが複数連なっていますが、鳥さくは、縦長のパネルを設置しています。縦長のパネルにすることで、高く積まれたから揚げなどの写真が、よりボリューム感を際立たせるのです。パネルの向きを変えるだけで、ボリューム感を演出し、顧客の目を引き付け、食べたいという心理に導きます。

画像引用元:value pressプレスリリースページ(https://www.value-press.com)

■ソーセージ

スーパーマーケットでは、各社から袋入りのウインナーソーセージが販売されていますが、どのメーカーの商品もほぼ全てが2袋セットになっています。テープで2袋が離れないようにとめられているのです。発売された当初は、1袋ずつ売られていたのですが、2袋セットにして販売したところ、顧客にお買い得感を与えることができ売り上げが大幅に伸びたため、それ以降2袋セットで売るのが通常となりました。商品自体は何も変わっていなくても、ただ2袋をセットにして販売するだけで、ボリューム感とお買い得感を演出することができ、売り上げを伸ばすことができるのです。2袋セットが常識として定着した現在においては、3袋セットを試してみるのも面白いかもしれません。

■エビフライを立てる

どこのお店に行っても、決まった盛り付けで提供されるメニューがあります。いわゆる業界常識というものですが、その常識を打ち破り、ボリューム感を演出することは可能です。例えば、エビフライは、皿の上に横たわる形で盛り付けられるのが常識ですが、あえて立ててみてもいいのではないでしょうか。もちろん、立てるためのスタンドのようなものを皿の上に置く必要はありますが、皿の上に数本のエビフライが立っているという状態が、華やかで、ボリューム感を感じ、ついつい注文したくなります。また、立てることで、皿に接している部分が先端のみになるため、衣がベタベタになるのも防ぐことができます。このように、長いものを常識的に横向きに置いて提供しているものは、フランクフルトなど、他にもありますので、応用してみるのもいいかと思います。

■小さい袋に詰め込む

多数の商品をひとつの袋などに入れて、お得なセットとして販売される商品は多くあります。福袋はその代表例ですが、お得感を演出するために、あえて商品の量に対して小さめの袋を使用して、詰め込まれた商品のため普通には閉まらない状態の蓋を、包装紙やビニールなどで覆ってみてはいかがでしょうか。あえて小さめの袋を使用すること、そして、普通には蓋が閉まらないため、他の包装用品で無理やり閉めるということがポイントで、一層のお得感を顧客に与えることができます。このように、多数の商品をひとつの袋などに詰め込んだ商品には、お得用のお菓子の詰め合わせや、プラスチック容器に詰められたミニトマトなど、他にもたくさんありますので、応用してみるのもいいかと思います。プラスチック容器の場合は、蓋は上に乗せるだけで、テープなどで容器と固定したり、全体をネットで覆うなどの方法も考えられます。