商品アイデアパターン

意外な付録がメインの雑誌にする


雑誌に付録を付けることで売り上げアップを狙う戦略は以前からありますが、付録の位置付けに変化が起こってきています。もはやおまけという位置付けではなく、付録がメインになっている雑誌が大幅に増えているのです。そのため、多少豪華な付録が付けても、他社との差別化は難しいと言えます。そこで、意外性のある付録を付ける、つまり、従来は付録にしようと考えなかった商品を付録にすることで注目を集め、新たな消費者層にアプローチをするという商品アイデアパターンです。

■本物の貨幣

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社は、「本物の貨幣コレクション」という雑誌を販売しています。雑誌の付録に、世界100カ国の本物の貨幣が毎回付いてきます。お金が付録として付いているという意外性と話題性、そして、貨幣コレクターの心をしっかりとつかむことで、定期購読をする根強いファンを多く獲得しています。また、貨幣を書店で売れるという販売ルートの斬新さも、注目すべき点と言えます。

画像引用元:アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社HP(http://www.hachette-collections.jp)

■ミニチュアフード

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社は、「ミニチュアフード」という雑誌を販売しています。雑誌の付録に、樹脂粘土でミニチュアフードを作ることができるキットが付いています。パンやスイーツのミニチュアを、樹脂粘土を用いて、読者が自分で作るのです。付録を自分で作る、つまり体験を付録にするという全く新しい切り口で、人気を集めています。アクセサリーにアレンジするなど、自分独自のアイテムに仕上げることもできるというのも、注目すべき点です。

画像引用元:アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社HP(http://www.hachette-collections.jp)

■食べる通信

一般社団法人日本食べる通信リーグは、「東北食べる通信」「北海道食べる通信」「おきなわ食べる通信」など、全国各地の旬の食材を付録にした雑誌を出版しています。それぞれの雑誌ごとに、発行している団体は異なり、日本食べる通信リーグに加盟をしています。好きな地域の雑誌を購入すると、冷蔵便などで、食材と雑誌が送られてきます。雑誌には、食材の生産者のストーリーが書かれていて、生産者の想いが伝わります。購入者は、SNSで生産者とつながることができ、食材に関する質問や、感謝の言葉、更には追加注文などもでき、雑誌の購入をきっかけに、生産者と消費者がつながることができるのです。食材が雑誌の付録になるという意外性と、人と人をつなぐというコンセプトが多くの人の共感を呼び、人気が高まっています。

画像引用元:一般社団法人日本食べる通信リーグHP(https://taberu.me)

■直筆サイン付き若手スポーツ選手雑誌

スポーツ雑誌は各出版社から多く出版されていますが、スポーツの種目ごとの専門誌か、幅広いスポーツの最新ニュースや話題を提供している情報誌がほとんどです。そこで、アスリート切り口で、様々なスポーツにおける今後の活躍が期待される若手選手を紹介する雑誌あっても面白いのではないでしょうか。毎回1人の有望選手をピックアップして紹介し、最大のポイントは、その選手の直筆サインが付録として付いてくることです。そのため、今後花開く可能性のある有望な若手選手について詳しく知ることができ、更にその選手が将来活躍して有名になれば、直筆サインの価値が大幅に上がります。つまり読者は、若手有望選手を無名な時期から応援し、共に歩んでいくような感覚になり、有名になればサインの価値が上がるという将来の夢も共にすることができるのです。若手スポーツ選手にとっても、練習などの資金を調達するための一助ともなるため、選手、読者ともにメリットのある雑誌になるはずです。