商品アイデアパターン

形状を変える


世の中には、業界常識として形状が決まっている物がたくさんあります。この商品はこの形状という、いわば固定概念のもと、当たり前のように決まった形状になります。これらの多くは、最初にその商品が発明され、商品化された際の形状を踏襲しているのです。その形状でなくてはならない理由がはっきりしている物も中にはありますが、そうでない物が非常に多く、あえて形状を変えてみることで、別のメリットが得られる場合がよくあります。このように、決まった形状にとらわれず、形状を変えることで新たな価値を生み出すという商品アイデアパターンです。

■ロボット掃除機

ロボット掃除機は、床の上を自ら動きながら掃除をしてくれるロボットです。これまでの掃除の概念を覆すこの画期的な発明は、アメリカのiRobot社によってなされ、ルンバ(Roomba)という商品によって掃除機業界を大きく変えました。この商品が、丸い形状をしていたため、追従した他社も、同様の丸い形状のロボット掃除機を市場に投入しました。しかし、そもそも丸い形状でなくてはならない理由などありません。そこで、パナソニック株式会社は、三角形のロボット掃除機「ルーロ」を商品化しました。三角形であることの最大のメリットは、部屋の隅まで掃除しやすい点です。改めて考えてみれば、誰もが納得する当たり前のことですが、最初に発明されたルンバが丸い形状だったため、ロボット掃除機業界に固定概念が形成されていたのです。固定概念にとらわれず、あえて形状を変えることで大きなメリットを生み出した、代表的な事例です。

画像引用元:パナソニック株式会社HP(https://panasonic.jp)

■味噌

味噌といえば、日本古来からある、ペースト状の伝統的な発酵調味料です。歴史ある調味料で、基本的な製法も代々受け継がれているため、当たり前のようにペースト状の商品として市場に並んでいます。しかし、料理に使用するために、使いにくい、溶かすのが面倒、なかなか溶けないなど、多くの欠点がありました。そこで、マルコメ株式会社は、ペースト状という固定概念を覆し、液体状の味噌である「液みそ」を発売しました。液体なので溶けやすい、使う量を調整しやすい、スプーンなどですくう必要がないので洗い物が減るなど、形状を変えるだけで多くのメリットが生まれ、忙しい主婦から高い支持を得ています。

画像引用元:マルコメ株式会社HP(https://www.marukome.co.jp)

■濃縮液体カレールウ

カレーを調理する際に使用するカレールウは、固形のものがほとんどで、鍋で煮込む際に投入して溶かすことでカレーを作ることができます。しかし、溶かすのに時間がかかったり、溶け残りが鍋の底にくっついていたりという問題があります。そこで、液体タイプの濃縮カレールウがあってもいいのではないでしょうか。液体であれば、固形とは違って簡単に溶けて鍋全体に行き渡るため、調理が簡単になります。濃縮液体タイプに限界があれば、ペーストタイプにするという方法もあります。このように、濃縮液体カレールウを作ることで調理が簡単になり、多くの支持を集められる可能性があります。