ビジネスアイデアパターン
新たなビジネスを始める際、スペース、施設、設備などに高額な経費がかかるため、踏み出すのが難しいケースが多々あります。その場合、まずは既に持っている人から間借りするのが有効な手段です。スペースや設備を既に持っている人のほとんどは、常時全てを使用しているわけではなく、必ず空いている時間や空間が存在します。そこに着目し、スペースや設備を間借りすることで経費を抑え、ビジネスを立ち上げるというビジネスモデルです。自らのスペースや設備を持つのは、軌道に乗ってから、軌道に乗ることが確認できてからで全く遅くはありません。
ゴーストレストランとは、店舗を持たず、既に存在するレストランのキッチンの一角を間借して営業するレストランのことです。店舗を持って開業するのは資金も必要でリスクも高いため、まずは間借りをして始めるというリスクを抑えた効率的な方法です。例えば「6curry(シックスカレー)」などのカレー店が代表的で、ルーを温めるコンロ一口、炊飯器用のコンセント一口、容器に盛り付ける小さいスペースのみを間借りすれば成立します。顧客へはテイクアウト用として店頭での手渡しや、宅配サービスなどを活用することで、飲食スペースも不要です。実験的にビジネスを行うこともできるため、新たにレストランの開業を考える場合の、非常に有効な手段です。
株式会社生産者直売のれん会は、日本全国の各地域にある美味しいものを、都市部の駅構内の空いたスペースに仮設店舗を出して販売しています。地方の美味しい名店や、ネットショップで人気の店の商品を、多くの人の目に触れる都市部の駅構内などを間借りして販売することで、地方の生産者の支援、地域活性化につなげています。地方で人気が出ても、次のステップとして都市部に進出するためには、出店料などの経費がかかるため簡単ではありません。また、大手との価格競争になってしまっては、商品の価値が伝わりません。そのような現状を捉え、地方の美味しい商品を都市部で販売するという流通を実現ました。駅構内でよく見かける、広島の八天堂のクリームパンが、生産者直売のれん会が手がけた代表例です。
地方の商店街や、都市部であっても客足の減ってしまった商店街の中には、美味しいものや品質の高い商品を扱う店舗はたくさんあります。しかし、商店街への客足が乏しいため、経営に苦慮し、顧客の集まる商店街やモールなどへの出店を考えるにも、コストがかかります。一方、連日多くの顧客で賑わう人気の商店街にある店舗にもそれぞれ定休日があり、当然ながら定休日はシャッターを閉め、シャッター前のスペースは空いています。ショッピングモールなどは休まず営業しますが、商店街の店舗の場合、人気の商店街であっても、店舗ごとに定休日があります。そこで、客足の減ってしまった商店街のお店が、人気の商店街にある店舗の定休日に、軒先を間借りしてワゴン販売ができる仕組みを作ってもいいのではないでしょうか。人気の商店街にある各店舗の定休日をサイトにまとめてデータベース化し、そのサイトを通じて間借りの交渉や手続きができるシステムがあれば、貸す側、借りる側お互いにとって、収益向上につながります。
ディナーのみ営業しているレストランや、夜間に営業しているバーなどが多くありますが、昼間の時間帯はせっかくの厨房や客席、ホールは空いた状態です。厨房の一部は仕込みなどで昼間から使用している場合もありますが、全ての設備を使用していることはありませんし、客席は完全に空いています。そこで、このような店舗の昼間の時間帯を間借りし、ランチレストランやカフェを営業してはいかがでしょうか。厨房の使用は最小限にとどめ、ディナーに向けての仕込みの邪魔にならない範囲で提供できるメニューにとどめ、顧客には客席でゆっくりと食事をしてもらいます。ゴーストレストランとの最大の違いは、ゆっくりとイートインできるという点にあります。また、昼間の時間帯に客席、ホール、そして厨房の一部を間借りさせてもらえるレストランをまとめたサイトを構築すれば、このような仕組みが活性化していくのではないでしょうか。
ディナーのみ営業しているレストランや、夜間に営業しているバーなどが多くありますが、昼間の時間帯はせっかくの客席、ホールは空いた状態です。厨房は仕込みなどで昼間から使用している場合もありますが、客席は完全に空いています。一方、都心では、平日のランチの時間になると飲食店に人が溢れ返り、いわゆるランチ難民と呼ばれる人が続出します。ワゴン販売、キッチンカー販売などが昼になると現れ、ランチ難民の救世主となっていますが、屋外の簡易スペースで食べたり、職場に持ち帰ってデスクで食べたりと、店舗型飲食店のように落ち着いて食べることはできません。そこで、ワゴンやキッチンカーで購入したランチを、昼間は営業していないレストランの客席で食べられる仕組みを作ってはいかがでしょうか。客席、ホールを間借りし、少額の有料イートインスペースとして解放し、その運営のみをビジネスとして行います。また、ワゴン販売などとジョイントし、店内のホールで販売し、イートインできるワゴン販売として営業することも可能です。更には、食事をしながら打ち合わせができるスペースとして、コンセプト化することもできます。
店舗型のビジネスは、一般的にリスクが大きいと言われます。特に、厨房施設に高額の資金を必要とする飲食店ビジネスはリスクが大きく、開業へのハードルは高いと言わざるを得ません。このようなリスクの高いビジネスは、既にあるスペースや設備、施設を、間借りして始めるのが最も効率的でリスクを大幅に軽減できます。店舗を持つのは、ビジネスが軌道に乗ってからで遅くありませんし、軌道に乗るかどうかを確認してからで遅くありません。スペースや設備を必要とするビジネスは、どのようなビジネスであっても、開業資金はかかります。一方で、既にあるスペースや設備は、常時使用しているわけではなく、必ず空いている時間帯、空いている空間があります。このような視点で、間借りという方法でビジネスを始めるという考え方をひとつのアイデアとして持ち、開業に向けた計画をすすことをお勧めします。
また、既にスペースや設備を持っている場合、それを利用したいというニーズがあることを利用し、サービスを展開することも可能です。間借りさせることで収入を得るという手段は、非常に有効で効率的ですので、アイデアを洗い出してみるのもよいでしょう。特に、夜間営業店舗の場合、昼間の客席の間借りビジネスには、幅広い応用可能性が考えられます。会議室として、セミナールームとして、個展などのイベント会場として、ショップとしてなど、可能性は無限大です。
このように、スペース間借り商売は、スペースや設備を既に持っている人も、それらを間借してビジネスを始めたい人も、双方にとってメリットのある将来性あるビジネスモデルです。間借りさせたい人と間借りしたい人をつなぐ、マッチングのシステムがあってもいいのではないでしょうか。ぜひとも、間借りビジネスという視点を持ち、新しいビジネスにチャレンジしてみるとよいでしょう。