ビジネスアイデアパターン
後継者がいないことが理由で廃業となる個人事業は多く、名店と言われるような地方の人気飲食店でさえも例外ではありません。人気があり、顧客がたくさんいるにもかかわらず、閉店せざるを得ないのは、ビジネスとしてあまりにももったいないことです。後継者、つまり経営を引き継ぐあてさえあれば、事業を存続することができるのです。このような事業に着目し、買収または借り上げて、経営を引き継ぐというビジネスモデルです。
カレーチェーン店のゴーゴーカレーは、後継者の不在、経営者の高齢化に悩む、全国のカレー店を買収して経営を引き継いでいます。買収した店の味、ブランド、従業員を全て引き継ぎ、そのまま事業を継承するため、昔からの顧客も離れません。また、買収したブランドをチェーン展開させることも可能で、地方に埋もれた老舗名店の味を武器に、事業を拡大させることができます。
有名ラーメン店の博多一風堂を全国展開する株式会社力の源ホールディングスは、後継者不在に悩んでいた因幡うどんを買収し、経営を引き継ぎました。歴史ある有名うどん店の味を、有名ラーメン店がそのまま継承。因幡うどんの味や事業の方針は一切変えないため、従来の顧客も離れることなく、更にはラーメンからうどんへの事業拡大を図ることができます。
地方の農村では、高齢化と後継者不在により耕作放棄地が増えています。しかし、代々守ってきた農地を売却することに抵抗のある人や、見ず知らずの人に土地を渡すことに抵抗のある人が多く、放置されたままとなるケースが多いのが現状です。そこで、運良く後継者に恵まれた農家が、その周囲にある近所の耕作放棄地を全て借り上げ、大規模経営を行う事例が各地で出現してきています。顔の知れた地元の農家から、農地を買収するのではなく借り上げるため、話も進みやすいのです。自らの農地の10倍以上の農地を借り上げて大規模経営にすることで、大型機械が使用でき、コストも大幅に削減できるため、事業効率が上がります。
後継者の不在が理由で廃業となる老舗旅館が、非常に増えてきています。歴史ある立派な日本家屋に自慢の料理や温泉がありながらも、引き継ぎ手がいないがために廃業となってしまうのは、ビジネスとしてあまりにもったいないことです。そこで、後継者問題に悩む老舗旅館を買収し、歴史ある日本家屋の良さを残しながら、時代の変化と国際化にフィットさせたリフォームを施し、そのまま経営を引き継ぐことで、効率的に旅館ビジネスを展開することができるのではないでしょうか。