メニューアイデアパターン

色を変える


外食店では様々な料理やドリンクが提供されており、店舗によってその味や外観は異なります。しかし、それぞれの料理ごとに常識と考えられる範囲が存在し、その範囲の中で店舗の特徴があるに過ぎません。色であれば、白い色であることが常識の料理は、多少の違いはあれど、どの店舗の料理も基本的には白い色をしているのです。そこで、あえて常識の枠を超えて大きく色を変えることにより、顧客の興味関心を集めるという、メニューアイデアパターンです。

■白いカレーうどん

恵比寿にある蕎麦店「初代」は、白いカレーうどんを提供しています。通常のカレーうどんの上に、じゃがいもをベースとしたエスプーマと呼ばれるメレンゲ状の泡をたっぷりと乗せ、全面が真っ白になっています。カレー自体が白いわけではなく、それを覆うじゃがいもの泡が白いため、見た目は白いカレーうどんなのです。カレーと言えば茶色が常識ですが、全く異なる色に変えることで、顧客の興味をひくことができます。味もまろやかで美味しく、白いカレーうどんを食べるために訪れる顧客が後を絶ちません。

画像引用元:ホットペッパーHP(https://www.hotpepper.jp)

■カリフォルニアロール

カリフォルニアロールは、日本の巻き寿司が原点となったアメリカの寿司料理です。日本の巻き寿司とは異なる最大の特徴は、外側から、酢飯、海苔、具材の順番に巻かれていることで、海苔が一番外側ではありません。そのため、通常は外側が黒いはずの巻き寿司が白いのです。これは、日本人は海苔を始めとする黒い食べ物に昔から慣れ親しんでいますが、アメリカ人は黒食べ物に馴染みがなく、毒々しいイメージを持つようで、あえて外側を白い酢飯にしているのです。このように、色が料理に与える影響は大きく、色を変えるだけで、顧客からの印象は大きく変わり、売上も大きく変わるのです。

■レッドコーヒー

コーヒーには様々な種類があり、コーヒー豆の種類、産地、挽き方などにより、それぞれ特徴が異なります。コーヒー店の多くは、独自のこだわりを持ったコーヒーを提供しており、味や香りに店舗ごとの特徴はありますが、見た目の色に大きな違いはありません。カプチーノは泡によって白いという特徴がありますが、これも一般的なコーヒーの種類の範囲内と言えます。そこで、あえて大きく色を変えたコーヒー、例えばレッドコーヒーなどがあってもいいのではないでしょうか。コーヒー自体を赤くすることは困難ですが、トマトベースの泡を表面に乗せることで、作ることができます。ほんのり効いたトマトの酸味とコーヒーの苦味が意外とマッチし、斬新な色と意外に美味しい味に、興味を持つ顧客も多いことでしょう。

外食店の売上をあげるためには、多くの顧客に来店していただく必要がありますが、美味しい料理を提供すれば顧客が増えるというわけではありません。なぜなら、美味しいかどうかは、食べなければわからないからです。

 

顧客の数は、トライアル数とリピート率の両方をあげることで、増やすことができます。トライアル数とは初めて来店する顧客の数、リピート率とは再び来店してくれる顧客の割合を意味します。このうち、美味しい料理を提供することで増やすことができるのは、リピート率なのです。そのため、トライアル数は、別の方法で増やす必要があります。

 

トライアル数を増やすためのポイントは、食べてみたいという気持ちにさせることです。そのような気持ちにさせるための手段は様々ですが、最も効果が出やすいのが、好奇心と話題性です。常識の範囲を超えた料理を提供することで、人は食べてみたいという好奇心を持ちますし、メディアも話題として取り上げたくなります。そして、常識の範囲を超えた料理を最も簡単に作り出す方法が、色を変えるということなのです。

 

是非とも常識の範囲を超えた色に変えることで、顧客を食べてみたいという気持ちにさせ、トライアル数を増やしてみてください。トライアル数さえ増えれば、あとは料理の味と品質という本来の土俵で勝負することができ、必然的にリピート率も上がるはずです。