セールスアイデアパターン

人が物を購入するのは、自分にとって何らかのメリットがあるからです。それは購入者にとってのメリットであり、販売者にとってのメリットではありません。販売者や一般の人の多くが欠点だと感じるポイントも、ある特定の人にとっては、メリットである場合があるのです。誰にとってどのようなメリットがあるのか、そのメリットを探し、それを必要としている人に的確に伝えることで、多くの人には欠点ばかりに思えるような商品をヒットさせるというセールスモデルです。

有限会社落ちないりんごは、青森県にある、りんごの栽培と販売を行う会社です。落ちないりんごという社名は、平成３年の台風により、収穫時期間近のりんごがほぼ壊滅状態となってしまった中、強風に耐えて落ちなかったりんごがわずかにあり、それらのりんごに由来して付けられました。落ちなかったりんごは、落ちないという縁起のよさから、受験生の合格祈願商品としてきれいに包装して高価格帯で販売し、飛ぶように売れたのです。その結果、台風によりほぼ壊滅状態になったにもかかわらず、落ちなかったわずかなりんごのおかげで、例年並みの収益を得ました。台風被害という極めて深刻な局面の中、落ちなかったわずかなりんごに秘められたメリットを探し、それを最大限に活かすことで、大きな売上につなげることができるのです。

arucutoは、一本歯下駄を販売する会社で、「GETTA」などのシリーズを取り扱っています。下駄には、主流である二本歯と、歯が１本しかない一本歯がありますが、下駄自体の需要が大きく低下しており、下駄メーカーの数も減り続けています。しかし、arucutoは、一本歯の下駄だけで、大きくビジネス展開をしています。それは、一本歯の下駄に、トレーニング機能があるというメリットを見出したことにより実現しました。下駄は古臭い、一本歯はバランスが悪く履きにくいなど、欠点だらけのように思えますが、そこに大きなメリットを見出したのです。一本しか歯がないためバランスを取るのが難しく、そのため、体幹を鍛えるなどのトレーニング目的において非常に高い効果が得られたのです。トレーニング用途別に適した一本歯下駄を製造し、幅広く展開しています。トレーングの効果は高く、多くの有名スポーツ選手が、次々とトレーニングに取り入れています。

画像引用元：arucuto HP（https://shop.getta.jp）

帽子は、日よけや防寒、ファッションなどの目的でかぶる人が多くいますが、髪型が崩れるなどの理由から、一切かぶらないという人もいます。そこで、崩れている髪を隠す、つまり、寝癖を隠すという目的で、ニット帽を販売してみてはいかがでしょうか。髪型が崩れることを気にする人は、多少の寝癖も気になるものです。時間のない朝、かぶるだけでファッショナブルに寝癖を隠すことができるというのは魅力的で、キャップなどとは違い、室内でかぶっていても不自然ではないというのが、ニット帽の最大のメリットです。一日中かぶっていればいいのです。室内でかぶっていても不自然でないデザインのニット帽をセレクトして販売することで、より効果は増すはずですし、夏にはサマーニット帽も取り揃えるといいでしょう。髪型が崩れるという欠点を逆手に取り、崩れている髪を隠すことができるというメリットに置き換えることで、これまで購入してくれなかった新たな顧客層にアプローチすることができます。