セールスアイデアパターン
商品やサービスを購入するときは、必ず金額を確認します。自分自身にとって購入したいと思える金額なのか、品質と金額が釣り合っているかなど、様々な視点で確認することになるため、金額が理由で購入しないという判断も多くあるのです。そこで、全ての商品やサービスを決められた均一の料金設定にすることで、金額を気にすることなく、商品やサービスそのものを純粋に欲しいと思うかどうかで判断してもらい、購入へのハードルを下げるというセールスモデルです。均一料金である時点で、その金額を受け入れる顧客しか来ないため、購入確率が大幅に上がります。
ダイソーは、株式会社大創産業が経営している100円ショップで、言わずと知れた業界の草分け的存在です。店内のほぼ全ての商品が100円均一の料金設定で、日用品、雑貨、文房具、食料品など、あらゆるジャンルの商品を販売しています。なんでも揃うことに重点を置いており、ダイソーに行けば何でも100円で手に入るため、多くの顧客から愛されています。100円という金額であることを認識した上で顧客は来店するため、当然ながら金額を気にすることなく商品を手に取り、金額を気にしないが故に、ついつい本来の目的以外の商品までもついで買いをしてしまうのです。100円ではほとんど利益が出ない商品、場合によっては赤字の商品がある一方で、実はスーパーではもっと安く売られているような大きな利益の取れる商品が混在しており、トータルで利益を出すという戦略のもと、均一料金で何でも揃うことが何よりも重要なのです。金額というハードルを取り払うことで、薄利多売ながら大きな利益を上げ続けている代表的な成功事例と言えます。
鳥貴族は、株式会社鳥貴族が経営する居酒屋スタイルの焼鳥屋です。高品質で種類も豊富な自慢の焼き鳥はもちろんのこと、唐揚などの一品料理やドリンクまでもが、全て298円の均一料金設定です。単価が高く、気づけば大きな金額を消費してしまう居酒屋業態において、分かりやすい均一料金設定にすることで、食べた量と金額が一致するため安心して注文することができ、多くの顧客から高い支持を得ています。
京都伊三郎製ぱんは、株式会社のぶちゃんマンが経営するベーカリーです。九州を中心に展開し、調理パン、菓子パン、サンドイッチ、フランスパンなど種類が豊富で、全ての焼きたてパンが100円均一の料金設定となっています。従来のベーカリーにも100円の商品はありましたが、店内の全ての焼きたてパンが100円という店舗はほとんどなく、セントラルキッチンと呼ばれる大きな工場で生地の状態まで製造してから、各店舗で焼くという工程を取ることで、この価格設定を実現しています。焼きたてパンのおいしさと、どれを取っても100円という価格に対する安心感から、ついつい多くのパンを購入してしまうため、売り上げは大きく拡大しています。
カウンタースタイルの高級寿司店では、ネタの価格が時価で変動するため、決まった金額が設定されていないことも多くあります。金額を表示する店舗も増えていますが、あくまでもネタは時価であるため、その金額は日々変化します。そこで、全ての寿司が均一料金の高級寿司店があってもいいのではないでしょうか。ネタの仕入れ値が時価で変動しても、シャリに乗せるネタの大きさや、寿司の個数などで調整し、均一に設定された金額に合うように、量で調整するのです。例えば、一皿500円均一に設定するのであれば、時価で500円相当分のネタを握ればいいのです。このように、金額が不透明であることが心理的ハードルとなっている高級寿司店において、均一料金設定にすることで、多くの潜在需要を掘り起こすことができるはずです。
アパレルショップには、低価格帯から高価格帯まで多く存在しますが、商品ごとに金額のタグが付いており、そのタグは見えにくいところに隠されている店舗も多々あります。金額のタグを引き出して確認する顧客と、そのタグを内側にしまって洋服をたたみ直す店員の、無意味な攻防が繰り広げられています。そこで、価格を気にせずに購入することのできる、均一料金設定のアパレルショップがあってもいいのではないでしょうか。事実、店舗の一角に安売りの2000円均一コーナーなどができると、そこに顧客は群がり、飛ぶように売れます。つまり、均一料金であることの安心感と割安感が、購入意欲を掻き立てるのです。例えば、全ての商品が2980円均一のアパレルショップを作れば、その価格帯のアパレルを購入したいと思う顧客だけが来店し、価格を気にせず気軽に商品を選ぶことができるため、購入率は上がるはずです。
株式投資を行っている人は多くいますが、FXとは異なり株式投資で悩まされるのは投資金額です。株式は、売買できる株式数の数量単位と株価が決まっていますので、投資できる金額に自在性がありません。例えば、100株単位で取引できる株式の現在の株価が1200円だったとすると、12万円の倍数でしか取引ができないのです。そこで、どの銘柄も均一料金で投資できるようなシステムを構築できるよう、仕組みを見直してみてもいいのではないでしょうか。例えば、ボタン一つでどの銘柄であっても1万円相当の株式を購入できる仕組みにするのです。株式の売買数量が端数となるため、現物取引では不可能ですので、信用取引を利用してこの仕組みを実現することができれば、より気軽に株式投資に参加できるようになるのではないでしょうか。